日越合作絵本「トモダチ」ベトナムで来年1月出版へ

ベトナムではこれまで子供向けの絵本の出版は少なかった。活字に絵が付されていても、挿絵かお話を説明する絵が描かれているだけで、絵本というには程遠いものだった。 日越の企業からの支援を受けて日本の絵本をベトナム語に翻訳して出版し、親が子供にする「絵本の読み聞かせ」を普及させようという、日越両代表が経営するモアプロダクションの取り組みもあって、マンガに続いてエホンがベトナムに根付きつつある。続きを読む

ドイツ人写真家の「ハノイ 1967〜1975」写真展

この10月3日よりManzi Art Space & Caféで開催されたドイツ人写真家トーマス・ビルハート氏の写真展に訪れた。公式ウェブサイトによれば、ビルハート氏は1937年生まれの今年83歳。ライプチヒ・グラフィック＆ブックデザイン大学を1963年に卒業、その頃から報道写真家として活躍し、ベトナム、パレスチナ、ニカラグアでの報道写真で世界的に名が知られ、モスクワからニューヨークまで写真展が行われているという。続きを読む

「サイゴンが主人公」の映画 “Ròm”

昨年から話題となっていたベトナム映画”Ròm”がこの9月25日からベトナムで封切られた。私も早速映画館で観た。 親に捨てられ孤児としてたくましく生きるゾム。彼の仕事はSố đềという、公営宝くじの下2桁を利用した違法な賭博のために必要な宝くじの番号や予想を売る仕事をやっている。彼は自分の両親を探し出すべく、お金を貯めているのだ。同じくストリートチルドレンの商売敵と競いあい、だましあい、喧嘩しあいながらもその日その日を生きている。取り壊しが決定しているような集合住宅に住む貧しい人々の中でおきる悲喜交々が描かれる。続きを読む  

映画監督ヴィクター・ヴー、次回作はホラー映画「守護天使」

ベトナム航空の機内誌にヴィクター・ヴー監督のインタビュー記事が掲載されていた。同監督の映画「草原に黄色い花を見つけた」は2016年日本で公開された。監督夫妻を日本へ招へいするにあたり査証手配のお手伝いをし、食事もご一緒させていただいた。若いが物静かで、淡々とした話ぶりに好感が持てた。 ヴー監督は1975年、ベトナム系アメリカ人の父母のもと、北ハリウッドに生まれた。ご両親はサイゴン陥落を前にアメリカに移住した。彼は大学卒業後、1997年に初めての映画作品を制作。その後、ベトナムに拠点を移し、ベトナムでの映画制作に取り組んでいる。続きを読む

日本マンガ御殿？ 自社ビル完成 キムドン出版社

日本のマンガがベトナムでも人気なのは、これまでも紹介した通りだ。ベトナムにおけるマンガブームの火付け役となったのはキムドン出版社だ。 同社は一九五七年、ホーチミン共産青年同盟傘下の児童書専門国営出版社としてスタートした。名称はベトミンの活動に参加し犠牲となった少年「キムドン」にちなんでいる。 一九九〇年代はじめ、同出版社はドイモイ政策のもと市場経済化に伴って独立採算制に移行、そのため経営危機に陥っていた。同社はタイの出版社に勧められ、日本のマンガ「ドラえもん」の出版に乗り出す。一九九二年のことだ。続きを読む

コロナ啓発ポスターでプロパガンダアートが大活躍

この原稿を書いている6月1日現在、ベトナムは46日間連続で市中感染は報告されていない。ベトナムはコロナを制圧した、世界でもまれにみる国のひとつとなった。 4月号で紹介した「コロナ感染予防の歌」に続き、新型肺炎の感染予防に貢献したベトナムのアートをご紹介しよう。 3月10日ベトナム文化スポーツ観光省はコロナ感染予防啓発ポスターの公募を行った。締切まではたったの5日間、しかし23名の画家が応募し、103作品が集まった。そのうち14作品がポスターとなってベトナム全国の街角に掲示された。続きを読む

日本のアニメはベトナムでもヲタクな人気

ベトナムは旧正月明けからこの4月までコロナ感染拡大の影響で全国の幼稚園から大学まで教育機関はすべて休校となった。この5月からようやく一部で学校がはじまる。子どもたちは久しぶりに友だちと会えるのを楽しみにしていることだろう。 わが家の三姉弟妹は外出も禁止されていたので、家でネットゲームや動画を見放題だった。わが家の子どもたちは親に似て「ヲタク」傾向にあり、家にこもっていてもなんら問題ない。 一番上の娘は今年十三歳。いわゆる反抗期ときているから母親の言葉にはまず口ごたえする。父親の私は怖いのか、あるいは頭ごなしに叱ったりしないせいか、彼女が反抗的な態度にはでない。続きを読む

コロナウイルス感染予防に流行歌を動員

♫最近出現したヤバいウイルス／その名はコロナ／どこから来たんだ？故郷は武漢さ／平和な日常はたちまち逃げ去った 警戒心をMAXにしろ／拡大させるな／自覚を持て／新型肺炎が猛威をふるわないように しっかり手を洗え／目鼻口を手でさわるな／人混みに入るな／コロナウイルスを撃退しよう 連日のコロナ報道で読者のみなさんにコロナ関連ニュースは食傷気味だろうとは思いつつもベトナム・エンタメ通信としてはご紹介しないわけにはいかない「歌」がある。それが冒頭に掲げたベトナムの「コロナウイルス感染防止の歌」”Ghen Cô Vy”だ。この歌は2017年に作曲家のKhắc Hưngがリリースし、大ヒットした “Ghen”の替え歌で、歌うのはMin x Erik。日本でいえば秋元康に作詞を頼んでAKB48が歌うようなものだと思えばよいだろう。 続きを読む

ベトナムの子どもたちに絵本の読み聞かせを

ベトナムには親が絵本を読み聞かせる習慣がない。そもそも子どもたち向けの「絵本」というジャンルの本が少なかった。大人が読む本ですら紙質の悪い、粗末な本が多かった。 市場経済化の中で出版も一定の自由化がすすみ、民間の出版プロダクションが次々と出現し、海外の本も翻訳し出版されるようになって、出版界にも活気が生じている。 日本人とベトナム人が共同で経営する出版プロダクションが日本の優れた絵本作品を翻訳出版し、低価格でベトナムの市場に提供している。それがモア・プロダクションの「モグ・プロジェクト」だ。続きを読む

ベトナムの人気ユーチューバー・ハウホアン

日本の小学生に「将来なにになりたいか」と職業を尋ねると、その筆頭にあげられるのが、「ユーチューバー」だそうだ。日本だと「はじめしゃちょー」「HIKAKIN」「Fischer’s-フィッシャーズ-」をご存知の方もおられるだろう。彼らユーチューバーは小中学生から圧倒的な支持が寄せられるものの、大人たちからしてみれば、彼らの動画の何がそんなに面白いかわからない、人気が出てもどのようにお金を儲ける仕組みかもわからず、得体が知れないと思っておられるのではなかろうか。続きを読む      

片思いに終わった恋が蘇る、映画 “Mắt Biếc”（つぶらな瞳）

2019年クリスマス映画として封切られた映画”Mắt Biếc”（邦題「つぶらな瞳」）。原作はベトナムのティーンエージャーに圧倒的な支持を受けている児童文学作家・グエン・ニャット・アイン。同題名の小説を、同作家の原作「草原に黄色い花を見つけた」を映画化して大ヒットを飛ばしたヴィクター・ヴー監督による映画だ。 この映画が上映2週間で1500億ドン（約7.5億円）の興行収入をあげ、全ベトナムで200万人を超える人たちが映画を鑑賞したと報道された。ラブコメやアクションならいざ知らず、文芸映画を二度までもヒットさせたヴィクター・ヴー監督の手腕たるや恐るべしである。続きを読む  

不死鳥のごとく、歌手・ホアン・トゥイ・リン

本年六月ベトナムで、ある新曲が発表された。歌手ホアン・トゥイ・リンの “Để mị nói cho mà nghe”だ。アダルトで洗練された感じのダンスポップを得意としていた彼女はこの曲で心機一転、エスニックな雰囲気を漂わせた歌に少数民族モン族の衣装を身にまとって踊るミュージックビデオを世に送り出した。その曲が大ヒットし、YouTubeでの視聴回数は八千五百万回を超えた（2019/11/27現在）。続きを読む